人材育成と理想の上司

管理職の皆さんは、人材育成に悩んだり、考えたことがありますか。
自ら成長しなければ、部下を育成することはできません。
私が、若い人材育成の手本としているものに「行動科学マネジメント」があります。
その中から幾つかを紹介しておきますので、参考にして下さい。

部下を褒めて育てるべきか、叱って育てるべきか悩んだ時期がありましたが、部下は教えて育てるものだと思っています。感情で動かそうとすると、褒めるか、叱るかの二者択一になります。どちらも育て方の手段の1つではあるが、その方法では根本が解決しません。
感情ではなく、行動に焦点を当てる。
それが行動科学マネジメントです。すべての結果は行動の積み重ねによって得られる。いい結果が出るのは、いい行動の積み重ねがあったからにほかならないし、悪い結果が出るのは途中の行動のどこかに問題があるからです。

モチベーション=やる気という意味で使っていることが多いと思いますが、モチベーションは本来、「動機付け」や「自発性」のことです、
やる気のない部下のやる気を高めることは無理であっても、自発性を高めることは可能です。
仕事の意義を教えたり、その業務を成功させたらどのような素晴らしいことが起きるのかをイメージさせたりして、いかようにも部下の自発性を上げられます。
逆に、部下のモチベーションを下げるのも、上司にとっては簡単なことです。プロセスに目を向けず、結果だけで評価する短気な態度をとれば、一発で部下のモチベーションは下がるはずです。

あなたの部下が仕事が出来ないでいるとしたら、その理由は2つしかありません。
1)仕事のやり方がわかっていない。
2)仕事のやり方はわかっているが継続の仕方がわからない。
人は何年勤めていても、わかっていそうでわかっていないことは意外と多いものです。
大切なのは具体的行動です。具体的にどうするかを伝えるのが、今の時代のOJTだと思います。

行動科学マネジメントの重要概念に、「MORSの法則」というのがあります。
Measured    計測できる(数値化できる)
Observable  観測できる(誰から見ても、何をしているのかがわかる)
Reliable    信頼できる(どんな人から見ても、それが同じ行動だとわかる)
Specific    明確化されている(何をどうするかが明確になっている)
行動科学マネジメントは、この4つの条件をみたしていないものは具体的な行動とは見なしません。部下を育てるOJTにおいても、MORSの法則を踏まえ、やるべき行動を具体的に伝えていくことが必須です。
武道などの修行の過程を表す「守破離」という言葉を知っていますか。
まず師匠に教えられたことを忠実に守り、繰り返し稽古をして基礎的な技術を見につける過程が「守」。
次に、基礎を踏まえてさらに洗練させる「破」を経て、師から離れて独自の境地を開く「離」へと至ります。
どのように行動すればいいのかを具体的に伝えるには、一連の仕事を細かく分解することです。行動分解は、「そこまでやるの」というくらいまで徹底する必要があります。
望ましい仕事は、いったいどのような行動で構成されているのか。あなた自身がそれを理解していなければ部下に伝えることはできません。
一連の仕事を行動分解してみると、たくさんの細かいパーツに分かれることがわかります。初めから、分解した行動を全てやってもらおうとすると、新人は「やらなければならないこと」の多さに消化不良をおこすかもしれません。
そこで、まずは「絶対に外せない行動から身につけてもらうことです。
営業マンが、顧客を訪問して最後に「ではご検討をお願い致します」とだけ言うか、「来週、もう一度ご連絡しますので、ご検討をお願い致します」と言うかでも、結果に差が出ます。
このようなトークも含めて、絶対に外してはいけない行動を、行動科学マネジメントでは「ピンポイント行動」と呼びます。仕事の出来る人はピンポイント行動を必ずとっています。

成果があがる行動を習慣化させるには、人がある行動を繰り返す理由を、行動科学マネジメントでは「ABCモデル」という概念で説明しています。
A=Antecedent(先行条件)
B=Behavior(行動)
C=Consequence(結果)
先行条件とは、行動のきっかけとなる環境のことです。
何かのきっかけで行動し、その結果が望ましいものであれば、あなたはその行動を続けるでしょう。いい結果を与えることが大切で、結果が次の行動のより強い先行条件となります。行動を繰り返してくれないのは、望ましい結果が得られていないからです。
部下がいい行動をとったときには、上司自らが望ましい結果を与えましょう。たとえば「よかったぞ」と一声かけるだけでいいと思います。自発性を高めるような望ましい結果を与える仕組みが必要なのです。
部下が悪い行動をとったとき、その行動自体は叱っても、部下そのものを責めるようなことはしません。悪い行動を減らすことより、いい行動を増やすことに主眼を置きます。
人は、すぐに確かに得られる結果に大きな影響を受けます。人が積極的に行動を繰り返すのは「ポジティブ」「すぐに」「確か」の組み合わせで結果が出るときです。
人は「無視」されることをとても嫌がります。注意を与えられることよりも無視されるほうが、精神的にははるかにこたえます。悪い行動に対しては、ネガティブなフィードバックをすぐに確かに与えるのです。さっと指摘して、いつもでも引きずらない。これが部下にとっては最も納得できる方法です。
褒めるときと同様、叱るときも、あくまでも行動を叱るようにしなければなりません。

ある程度経験を積んだ部下には、そろそろ自発的に行動してほしいと思うでしょう。
人が自発的に行動するには理由があります。行動科学マネジメントでは、それを「動機付け」と呼びます。動機付け条件が何なのかは、一人ひとり違います。
「とにかくお金がほしい」「家族と幸せに過ごしたい」「利用者さんの役に立ちたい」…
一人ひとりの動機付け条件を把握するには、まず部下の声を聞くことが大事です。一人ひとりのカルテを作るのも一案です。仕事の全体像を把握させるもとも重要です。
部下のいい行動を成果につながるまで自発的に繰り返してもらうには、一つひとつの行動が最終的に到達するゴールを実感させる必要があります。若い部下にとって、「自分が価値ある仕事を担っている」と感じさせることは大きな励みになります。人から言われたことを言われた通りにこなすだけでは、行動を続けるモチベーションを保てません。

理想の上司とは、
リクルートマネジメントソリューションズは、2012年に、日本、中国、インド、シンガポールの会社員に「理想の管理職」についてアンケートを行いました。
「上司はどのような職場風土をつくるべきか」という問いに対して、「協力し合う職場風土をつくる上司が理想」と考えている日本人は59.3%にのぼり、対して、中国やインド、シンガポールでは、競争し合う風土をつくる上司を理想とする人が多い結果でした。
さらに、「仕事の完遂と人間関係のどちらを重視するか」との質問には、日本人は仕事の完遂よりも職場の人間関係が大切と答えた人が半分よりやや多く、他の3カ国は仕事の完遂を重視すべきと回答する人が7割近くいました。
要は、日本以外の国は個人プレー、日本はチームプレーを重視している部下が多いということでしょう。憧れる上司になるには、うまくチームをつくる能力が求められていると言えます。

現代マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッガーは、
「リーダーシップとは人を引き付けることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」という言葉を残しています。
さらにドラッガーはこうも語っています。
「リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基礎を定め、それを維持する者である」
つまり、リーダーとは旗振り役であり、メンバーの進むべき道を示すのが最大の役割です。


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