介護報酬改定について

平成27年4月1日、介護報酬の改定が行われました。
今回の改定は、「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取り組みを推進することが柱になっています。そのため、「地域包括ケアシステム」をよく理解することが大切です。

「地域包括ケアシステム」とは、中学校区程度の日常生活圏域において、住み慣れた地域で安心して暮らせるための「住まい」「医療」「介護」「予防」「生活支援」などを一体的に提供する仕組みのことです。
 

この「地域包括ケアシステム」は、財源論から出てきたものでもあります。
高齢者人口は、いわゆる「団塊の世代」(昭和22(1947)〜24(1949)年に生まれた人)が65歳以上となる本年度には3,395万人となり、「団塊の世代」が75歳以上となる2025年には3,657万人に達すると見込まれています。
その後も高齢者人口は増加を続け、2042年に3,878万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されています。
今後、高齢化率は上昇を続け、20〜64歳の現役世代の割合は低下し、2060年には1人の高齢人口に対して1.2人の現役世代で支えるという比率になります。
仮に20〜69歳を支え手とし、70歳以上を高齢人口として計算してみても、70歳以上の高齢人口1人に対して20〜69歳人口1.4人で支えるという比率となります。
そのためには、社会保障財源の確保と社会保障給付の抑制が今後の課題となるのです。
 

医療給付の削減・効率化を図るため、病院からは医療依存度の高い患者が早期退院してきます。
一方、介護給付の削減のために、介護施設の整備は総量規制により制限されています。
そのため、その受け皿として、地域で中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化を行える仕組みづくり、「地域包括ケアシステム」の構築が求められているのです。

また、今回の改定で、活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションが推進されているのも大きな注目点です。
リハビリテーションは、心身に障害を持つ人々の全人間的復権を理念として、単なる機能回復訓練ではなく、潜在する能力を最大限に発揮させ、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能にし、その自立を促すものであるとされています。
 

今回、通所・訪問リハビリテーションは、社会参加が維持できるサービス等に移行するなど、質の高い通所・訪問リハビリテーションを提供する事業所の体制が評価されるようになり、通所介護や地域支援事業などにつなぐ機関として位置づけられました。
このため通所介護は、通所・訪問リハビリテーションからの利用者の受け入れができるよう、活動へのアプローチであるADL・IADL向上への働きかけや、参加へのアプローチである役割の創出・社会参加の実現を重視した、生活行為向上力訓練などを重点的に行える機能が必要になります。

2000年に介護保険が施行されて15年が経過し、制度の方向性が紆余曲折している感は否めません。
我々がこれから行うべきことは、自身の強み、弱みをしっかりと把握したうえで、地域包括ケアシステム構築のための役割を理解し、実践していくことを考えなければなりません。そうすれば必然的に、利用者様のために何ができるか、何をすべきかが見えてくるのではないでしょうか。

画像出典:厚生労働省 平成27年度介護予防改定の骨子/内閣府 平成24年版 高齢社会白書

運営支援事業課 課長 森本

風向きに影響されることなく

皆さんは、ヨットがなぜ向かい風でも前に向かって進むのか疑問に感じたことはありませんか。

その原理は、揚力によるものなのですが、揚力とは、飛行機が浮く原理で説明すると、飛行機の翼は底が平らで、上が丸く膨らんでいます。そこに空気が当たる時、上部の丸く膨らんでいる方に流れる空気は速くなり、そのため空気の密度が薄くなり、そこで上に引き揚げる力(揚力)が発生し浮き上がります。

ヨットの場合は、帆(セール)を斜めに傾けて膨らませると、飛行機の翼のような形になり、膨らんだ方向に引っ張る揚力が発生します。
この揚力だけだと、ヨットは横流れするだけなので、前に進めません。

この横方向の揚力と、船底に突き刺しているセンターボード(キール)の抵抗力との合力により、推進力が発生します。
この推進力により、ヨットは向かい風に対し、斜め前に進んでいきます。
そして、何度も方向転換をしながら、つまりジグザグに目的地へ向けて進んでいくことになります。

 
ヨットが歴史に登場するのは14世紀のヨーロッパとされており、そんな太古の先人たちは、いかにしてこの原理を発見し、応用したのでしょうか。外内燃機関動力や電動力のない時代に目的地へ到達するための創意工夫に感服します。

さて、我々が従事している介護保険事業ですが、2000年より介護保険制度が施行され、現在14年が経過しました。その間、保険給付額は2000年の3.6兆円から2013年の9.4兆円まで増加し、2025年には約20兆円まで増加する見込みです。

急速な高齢化や増大する給付額を鑑み、2006年度、2008年度、2012年度には制度改正も行われ、来年度の2015年度にも大きな制度改正が予定されています。それは、追い風となる改正内容ばかりではなく、向かい風となる改正内容もあることでしょう。

我々はたとえ向かい風の改正内容であっても、質の高いサービス提供を継続していくため、前進していかなければなりません。

スタッフの皆さん、ヨットが向かい風でも前進していく原理を発見し、応用してきた先人の知恵に習い、風向きに影響されることなく、皆で創意工夫し、皆で方向性を定め、皆で協働し、たとえジグザグでも前進していき、ご利用者様の元気と笑顔という目的地へ向かうため、力を合わせて頑張っていきましょう!

認知症について

最近、テレビコマーシャルで“認知症”という言葉をよく耳にされるかと思います。
私自身もケアマネジャーとして、認知症について多くを学んでいるところです。

認知症にはいくつかの疾患別原因があり研究は日々進んではいますが、明らかにされていないことも多く、治療法などについてはまだ確立されていないことも多々あります。

現在、日本における認知症患者数は約200万人、2030年には約350万人に達すると予測されています。
発症率も高齢者になるほど高く、認知症の国際的な発症率を比較した調査によれば、日本では65歳以上の男性の55%、同女性の66%は、いずれ認知症になるとされています。
また、85歳以上の男性の15人に1人、女性の10人に1人が毎年認知症になっていくというデータも示されています。

症状が進んでくると、最近の記憶が失われます。財布や眼鏡などをどこに置いたのかわからなくなってしまい、1日中家の中を探し回ることも珍しくありません。直前の記憶がはっきりしないため、時間や周囲の状況もどこか曖昧な感じがして不安になります。このため家族に同じことを何度も確かめて安心しようとします。

軽度の場合、日常的な挨拶や会話はできるのですが、鍋を焦がす、同じ物を何度も買ってしまう、人と約束したこと自体を忘れてしまう、といった行動面の失敗が目立ちます。周囲の人はなかなか認知症とは気づかないため、注意を受けることも少なくありません。その結果、様々なことに自信を失い、不安な気持ちになります。
 
散歩にでたら、そのまま家への帰り道がわからなくなってしまったり、自分から電話をかけたのに相手が出たとたんに、なんの用件だったか忘れてしまったり。当たり前のように出来ていたことが出来なくなると、自分はどうしてしまったのだろうかと不安になります。認知症の人は、このまま自分が壊れていくのではないか、という不安と怯えの真っ只中にあるといえるでしょう。

認知症の人は同じことを何度も尋ねる傾向がありますが、これは忘れてしまうという理由だけでなく、不安感の表れでもあると考えられます。何事にも自信が持てないため、不安感に苛まれ、身近な人を頼ろうとするのです。時には信頼できると思う相手について回ることもあります。

認知症の人は当たり前のことが出来なくなるため、家族や周囲の人が認知症の人を“何もわかっていない”と決めつけがちです。しかし、認知症の人は直前の記憶を失っているだけで、感情は豊かにあります。褒められれば嬉しいし、叱られれば悔しい。人間なら誰でも持っているこの感情はまったく変わらないのです。

認知症の人の介護にあたっている人は、つい叱ったり、間違いを正そうと説得したりしがちですが、当の本人は、なぜ叱られたのか、なぜ間違っていたのか、その理由を忘れてしまっています。
その一方で、自分が叱られたのだという屈辱的な感情だけが強く残ってしまいます。そのため、何度も叱られたり、注意されたりすると、感情的に反発したり、逆にうつ状態になったりしてしまうのです。

ご家族様や近親者の方が認知症になられた場合、多くの人が混乱し、対応に困ることが良くあります。私たち介護にたずさわるものは、認知症の人の気持ちを理解し、気持ちに寄り添う支援が必要といえます。
今後も認知症についての知識や認知症ケア事例を学び、ご利用者様にとってより良いケアが提供できるようにしていきたいと思います。

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